October 12, 2004

Dead Roses / Kasey Anderson (Resonant Noise)

 2001年発表のデビュー作『Halold St. Blues』がNo Depression誌から絶賛された(シアトルがある方の)ワシントンはベリングハム出身、弱冠(?)24才シンガー・ソングライターの2作目。カントリー・フォークなアコースティック・サウンドをバックに切々と歌う繊細な姿は、その声質のせいもあってどうしてもライアン・アダムスの二番煎じという印象を拭いきれないものの、危うさが売りのライアンとは対照的に、この人の売りはなんと言ってもこの素朴さでしょう。その素朴さが、自信のなさの裏返しのようにも映ったデビュー作に比べて、しっかりと地に足をつけた落ち着きの表れとしての素朴さに溢れた今作は、「やっと自分の声をみつけた」と開眼した彼の得た手応えがしっかりと伝わってくる誠実な1枚に仕上がりました。プロデューサーを買って出たエリック・アンベルの入れ知恵か(!)、スティーヴ・アール彷彿の【2】やストーンズ調ロックンロール【5】【8】などの派手めな演出が、本来の持ち味であるその他のナンバーを巧く引き立たせていて、アルバム全体のバランスも絶妙です。「ギター・サウンド」と言わずに「アンプ・サウンド」と言いたくなる、“機材オタク” エリック・アンベルのサウンド・メイキングも毎度のことながら最高(もちろんギター・プレイでも参加)。いま、アメリカ〜ンなギターの音録らせたら、この人の右に出る人いないんじゃないでしょうか。2001年に同じくエリック・アンベルのプロデュースでソロ作『Cripplin' Crutch』を出している裏方ベテラン・マルチ・ミュージシャン、ジョー・フラッドもフィドルで参加。ジャケ写も素敵です。