September 07, 2004

Folker / Paul Westerberg (Vagrant)

Folker / Paul Westerberg  なんだか最近やたらとリリースが目立つので、オリジナル・スタジオ盤と企画盤の区別すらあまりついてなかったんですが、オリジナル・スタジオ盤としては 2002年の『Stereo』以来2年振りのソロ5作目。途中にGrandpa Boy名義でFat Possumレーベルからリリースしたブルース・アルバム『Dead Man Shake』とか、自身のキャリアを綴ったドキュメントDVDのサントラ盤としてリリースした『Come Feel Me Tremble』(日本ではなぜかこのたび『Folker』と同時リリース)とか、いろいろ出てますが、個人的には2作目の『Eventually』 (1996年)以降の作品はどれもパッとしないというか、決して悪くはないんだけど、テキトー過ぎるというか。ニック・ホーンビィに言わせると「どこかと りとめがない」(『ソングブック』新潮文庫よ り)ってことになるんですが。そのとりとめのなさがこの人の魅力だと言ってしまえばその通りだと思うし、贔屓 目で見れば“パーソナルな作品”とか言って好意的に捉えることも可能なんだろうけど、僕にはどうもそれがこの人の負け犬根性の表れのように映ってしま い・・・もちろんそんなことないんだろうけど、だったらライアン・アダムスに 向かって、俺の真似してばかりでけしからんとか、もういいかげんそういうこ と言わない方がいいと思うんですよね。いつまでそんなこと言ってるんだって。でもまぁ、そういう大人げないところもこの人の魅力のひとつってことになって るんですが。そりゃライアン・アダムスを 見ていれば、本人も認めている通りこの人からの影響は明らかだし、テキトーな作品出すところまでそっくりなんです が、ライアン・アダムスにとっての『Gold』みたいな本命盤をこの人にも是非創ってもらいたいんですよね。自宅のスタジオでワンマン・レコーディングし たヘタヘタの演奏とヨレヨレのヴォーカルが、この人の神髄なのはわかる。でも、ちゃんとプロデューサー立てて、バック・バンド従えて、きっちり録ったもの を聴いてみたいと思ってしまうのは僕だけでしょうか。とにかく今回は曲がいい、と本人も自画自賛の今作。確かに曲のクオリティが最高なだけに、いつ にも増してそこのところが残念です。でも兄貴、久々に愛聴してます!